記憶のカケラ
第6章 悲しみ
「顔をご覧になりますか?」
男の人は優しい声でそう尋ねた。
「…はい。」
静かに頷くと顔にかけてあった白い布をとった。
2人ともすごく穏やかな顔をして眠っていた。
「お父さんがお母さんを守るようにして発見されました。2人の手にはこの写真が握られていたんです。」
そういって渡された2枚のくしゃくしゃな写真。
1枚は親子3人でとった写真。
もう1枚は遼の家族とみんなでとったものだった。
――最後まで私達のことを思っていてくれたんだね。
そう思うと涙がでた。
それから私は遼達にも写真を見せた。
写真をみて
「…ぅっく..。真由ちゃん…」
と泣いていたおばさんをおじさんがそっと優しく抱きしめた。
杏ちゃんも遼の肩をかりて泣いていた。