記憶のカケラ
第6章 悲しみ
「…私のせいでほんとにすみません...。あなたたちにあったらどんなに怒られても謝ろうと思っていたんです。」
幸さんの言葉に私達は戸惑った。
「あの、別に幸さんのせいではないでしょう?船の事故です。」
幸さんはうつむいた。
「少し前から話しますね。
私、助けていただく前にお二人にあっているんです。船に乗る数時間前に。
他愛のない話をしましたがお二人共ほんとうに優しい方ですね。
お母様はあなたたちのことを話していました。
自慢の子供達だって。」
「おばさんの子供はこの子だけですよ。」
杏ちゃんが慌てて訂正する。
杏ちゃんの言葉に少しだけ微笑んで幸さんは首を振った。
「お友達の子供さんだと言ってました。でも私の子供なんだって。
それからお友達からみてもお母様の子供さんであるあなたは娘さんなんだって。
だから3人とも自慢の子供達なのよって幸せそうに話していらっしゃいました。
すてきな関係ですね。」
幸さんからの言葉に私は胸があつくなって涙がでそうだった。