記憶のカケラ
第6章 悲しみ
「そんな私が一番最後に助けられたんです。私を助けなかったらお二人は生きていられたのかもしれなかったのに…。
私はお二人に救われたのに…。
恩人の娘さんであるあなたからお二人を奪ってしまった…。
ほんとうにごめんなさい…」
そういって幸さんは泣きながら頭を下げた。
私は何て言ったらいいかわからなかった。
しばらくして頭をあげた幸さんは
「形見になってしまってごめんなさい。」
と、なんどもなんども頭を下げながら私にピアスを手渡した。
「亜梨紗…」
そういって遼は私をなでた。
「遼…私は大丈夫だよ。」