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三日月の夜に

第3章 疑惑

それからの3日間、星夜はどう過ごしたのか記憶がない。

ルナを失ったことで、魂を抜かれてしまったかのようだった。


花織は「かわいい猫だったのに、残念だったわね……」とだけ言った。

なんだか、その態度がとても冷たく感じた。

星夜があまりに絶望しているのを見て、花織はさらに「あなたがそんなに猫が好きだったなんて、知らなかったわ」と言った。


星夜には、返す言葉が見つからなかった。

違う。

そうじゃないんだ………。


ルナは、特別だったんだ。

ルナが何をもたらしたのか、君にはわからなかったのか?

それとも君は、もう僕とのことなんてどうでもよくて、何とも思わなかったのか?

もういっそ、死んでしまえればいいのに。

星夜はそこまで思い詰めていたが、花織は気付かないのか、相変わらず自宅にいることがなかった。

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