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三日月の夜に

第3章 疑惑

先に眠ったのは、彼女だった。


星夜の胸にもたれたまま、寝息をたてはじめた。


星夜は、その髪をなでることすらできずにいた。


そのまま、やがて星夜も眠ってしまったのだろう。


朝陽を感じて目をさますと、ベッドの中にいた。


とても心地よかった。

こんなに安眠できたのは、久しぶりのような気がする。

まだ、何かのぬくもりを感じるようだった。


星夜は、はっと飛び起きた。

見回してみても、部屋には誰もいなかった。


彼女は!?


部屋を探すと、窓があいていた。

まさか、そこから出て行った?

そんなはずはない。



星夜は寝室を出て、リビングに入った。


すると、ソファにルナがいた。

ルナが帰ってきた。

彼女と入れ違いに………

星夜はソファに座り、ルナをなでた。


その感触は、なんだか懐かしかった。

彼女は、行ってしまった。

まるで風のような、不思議な女性だった。

実在しない幻のような……。


いや、彼女にはちゃんと実体があった。

あんなにもあたたかさを感じたではないか。

それに、この恋しさは……

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