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三日月の夜に

第3章 疑惑

花織が何をしていようと、誰といようと、自分のことをどう思っていようと、どうでもいいと思う自分がいることに星夜は気付いた。


それよりも、あの謎の女性のことで心がいっぱいだった。


彼女は、自分のことをずっと見ていたと言った。

しかし星夜には彼女と関わったような記憶は一切なかった。


ずっと見ていた………

それはつまり、僕に憧れているということか?

星夜は、想像してみた。


彼女と付き合い、結婚して夫婦になること。


想像ができなかった。

彼女には、まったく生活感がない。

存在感がない。

この世のものではないようなミステリアスな雰囲気なのだ。


また、会えるだろうか。

次に会えたら、触れてみようか……

それとも、何か質問してみようか?


星夜はまるで、初恋をした女子中学生のような心境になっていた。

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