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三日月の夜に

第4章 淡い恋心

彼女も床におり、また星夜の胸に身体を預けた。


「わたしも、離れたくない………ずっと、こうしていたいよ……」

星夜は、ぎゅっと彼女を抱きしめた。

呼び掛けたかったが、彼女の名前も知らなかった。


「君のことばかり、考えていたんだ」

「わたしもよ……」


お互いの温かさだけしか、感じられなかった。

どこか懐かしくて、安心する。

このぬくもりに出会うために生まれてきたような気さえするのに。


「どうすれば、君といられるんだ」

星夜はかすれる声で、たずねた。


彼女は、答えなかった。

「それは………できないの。」

星夜は言葉を失った。

彼女は、とても苦しんでいる。何か事情があるのだろう。一体何があったというのだろう。

なんとか、彼女を幸せにしてあげたいのに。

その重荷を、軽くしてあげることは、できないだろうか。

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