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三日月の夜に

第5章 確信

それからしばらく、慌ただしかった。


花織の荷物が少しずつ運び出されていた。


本当は、星夜の方が出て行くつもりだったのだが、花織はそれだけは絶対に許さなかった。


「それじゃあ、わたしがあまりにひどい女になっちゃうじゃない。少しくらい、わたしにもかっこつけさせてくれなくちゃ、ズルいわよ。」

花織はニコニコしながら言った。


そういうわけで、花織が荷物をまとめるのを何日もかけて星夜も手伝っていた。

時には、花織が泊まっていくこともあった。


タンス類はほとんど花織が持っていくことになっている。

星夜の持ち物は、ほとんど本や書類だけだった。

だからこそ、自分が出て行く方が合理的だと思ったのに。


まぁ、新しい男と新しい生活をするのには、やはり新居にうつりたいのだろう。

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