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三日月の夜に

第6章 愛のために

翌日、はやる気持ちをおさえて仕事をしていた星夜は、急いでうちに帰った。


すると、玄関の前に、彼女がいた。


「ああ……!よかった!会えたね」


彼女も嬉しそうににっこりした。

二人は手をとりあい、うちの中に入った。


「奥さんと、別れてしまったのね」

唐突に、悲しそうに彼女が言った。

星夜はドキッとした。なぜ彼女が知っているのだろう。


「ずっとあなたのことは見ていたから…奥さんが出て行く所を見たわ。」


星夜は、何と言っていいかわからなかった。

彼女は、ずっと近くにいたのか?そして、僕のことを見ていたんだ……。


疑惑は、少しずつ確信に近付く。

でも、そんなことはどうでもいい。

きっと、また一晩たつと彼女はいなくなってしまうのだから、この永遠に続いてほしい時間を無駄にはできない。

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