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三日月の夜に

第6章 愛のために

彼女は、一瞬だけ、ぎゅっと星夜にだきついた。


それから、離れたが、二人とも植え込みに座り込んだままだった。


「あと少しだけ……まだ時間があります。なんとか、最後に、全てをお話させて下さい……」

星夜はただうなづいた。


最後だなんて言わないで……言葉が喉の奥で固まってしまったようだった。


「わたしは、ケットシーという種族なのです。つまり、魔法力を持った猫の一族です。」

星夜は、声が出せずにいた。
それじゃあ彼女の本当の姿はルナだったのか。魔法で人間になっていたのか……


「わたしは、一族の中でも特に魔法力の強い王族の家系出身です。だから、人間に変身することまでできました。」

それじゃあ彼女は、その種族のお姫様だというのか。


「わたしたちは、人間には気付かれないようにしながら、自分たちの国家を築いています。
ある時、わたしは偶然にあなたを見かけました。あなたは気付いていないと思うけど………」

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