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三日月の夜に

第2章 猫との暮らし

入浴をすませ、ソファのクッションで丸くなる猫をながめていた。


野良猫と思えないくらいキレイな白い猫だった。

なでると、嬉しそうにした。



そうしているうちに、花織が帰ってきた物音がして星夜は緊張した。


どうして妻が帰ってきたのに緊張するのだろう。



電気がついていて、星夜がいるのを見て、花織は少し驚いた顔をした。


「あ…あなた………帰ってたの。」

「ああ。こんな時間に出掛けてたの?」


星夜が何気なくたずねると、花織は少し視線をさまよわせてから笑顔をつくった。

「あ…ちょっとコンビニにね。なんかアイスが食べたくなったんだけど、見に行ったら欲しいのがなくて、そのまま帰ってきちゃった。」


嘘だ。


さすがに星夜にだって、わかる。

何年も一緒に暮らしてきたんだ。

なぜそんな嘘を言う必要があるのかわからない。

何を隠しているのだろう。

でも、星夜はそのことをあまり知りたいとも思わなかった。

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