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運命に導かれて

第2章 結婚相手を探して

そして、思いはあの男にかたむいていった。


危うい所であらわれたヒーロー。

身分の高い……自分とはつりあわないお方。


それにしても、見ず知らずの女にここまでよくしてくれるなんて、なんて優しいのだろう。


でも、ここまで好意に甘えていいものだろうか。


うちは確かに貧しい。


しかし、最高峰の医療を受けなければ母親は助からない。

だからといって、他人にそんな高額な費用を負担してもらうなんて、いいことであるはずがない。

“中央”の彼にとっては、はした金なのかもしれない。

だけど………………。


やはり、母のことは諦めて、自宅療養するしかない。神様を信じて。


今日の費用と、助けてもらったお礼だけは、何年かかっても必ず返そう。


しかし、また会えるだろうか?

会えなければ、世話になりっぱなしになってしまう。

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