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運命に導かれて

第3章 甘い気持ち

ディアナは靴を胸にだきしめた。


オルフェウスが近くでまもってくれるかのようで、なんだかとても嬉しかった。


しかし、あまりに嬉しすぎて、とてもその靴をはくことはできなかった。

“中央”まで往復したら、すぐに汚れてすりきれてしまうだろう。


まだしばらくは、キレイに飾って眺めていたいと思った。


まるで夏を待つ気持ちのように、キラキラ輝いた楽しい気分になり、ディアナは一人でステップをふみ、踊った。



ーーーーディアナが恋をしている。



すぐに、近所の噂になった。

あの美しいディアナの心を射止めたのはどんな男性なのだろうと、それぞれに囁きあった。


ディアナがいつもの靴で母親の見舞いに行こうとした時、馬に乗った若い男があらわれた。

隣の家の息子だった。ちょうどディアナと同じ年齢で、幼なじみとして仲良く育った。

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