テキストサイズ

運命に導かれて

第3章 甘い気持ち

「ディアナ!」

男は馬から飛び降り、ディアナを抱き締めた。


「おかえりなさい、ミアキス」

ディアナは彼から離れて笑顔で挨拶をした。

「噂をきいた…僕がいない間に、なんてひどいことがあったんだ!僕がいれば、こんなこと…………」


ディアナが襲われたこと、母親が重症なことなどを、近所の人が話しているのを聞いて知ったのだろう。

ミアキスはこの集落の人たちが作った作物や品物を売り歩く仕事をしていて、時には何ヵ月も帰ってこないのだった。

まるで双子のように、ディアナのことを気にかけてくれていた。


「ええ………でも、助けてくれた方がいて。こうして無事にしているわ。母も………………」

ディアナの表情はくもった。

母のことを思うと耐えられなかった。

とても理不尽な理由によって、命を消し去られる寸前だったのだから。


ミアキスは、ディアナの頬をなでた。


「見舞いに行こう。連れて行ってあげるよ。さぁ、乗って!」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ