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運命に導かれて

第3章 甘い気持ち

ディアナは馬に乗せられ、ミアキスがその馬をひいて、“中央”の病院にむかった。


しかし、ミアキスは病院に入ることを断られた。

“外側”の人間が来る所ではない、というわけだ。

それに、身分のわからない物を入れて何か事件が起きても困るというのだ。


「ただ“外側”に住んでるからって!貧乏だからって!犯罪者の疑いをかけられるのかよ!」


ミアキスが叫んだ。

“外側”の人たちは、差別されることにはかなり敏感なのだ。


ディアナは必死にミアキスをなだめた。

「もうやめて………帰りましょう……ね?」

「何の騒ぎかな」


穏やかな声が響いた。

病院職員は、地面に頭がつくくらいに腰を曲げて挨拶をした。


「オルフェウス様…………」

その言葉に、ディアナは顔をあげてその人物を見た。


そこにいたのは、どうみても王家の人間と思える青年だった。ディアナは驚いた。

まさか………そんなはずはない…あの人が、あの方が王家の方だなんて。そんな立派な方があんな“外側”にいるはずがないし、わたしごときに目をかけて下さるわけがない。

顔は似ているかもしれない……

だけど、雰囲気はまるで違う。

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