テキストサイズ

運命に導かれて

第3章 甘い気持ち

「オルフェウス王子。“外側”の男が中に入ろうとしているのです。この女性も“外側”ですが、あなた様が許可をされて………」


オルフェウス王子は、興味深そうに二人を見た。

ディアナはオルフェウス王子を見つめ続けたが、声が出せなかった。


「ああ。このお方が例の女性ですか。なるほど、お美しい………救って差し上げたくなるのも理解できる。」

オルフェウスはあたたかく、しかし冷静に言った。

「彼が、とても心配していましたよ。あなたのお母様を入院させ、あなたが見舞いに入れるように手をかしてくれるように頼まれましてね。古い友人なのです。」

ディアナはしびれたように、ただ立っていた。


やっぱり、この方はあの人じゃない………だけどあの人は、王子様と友達だったんだ。

「娘さん。こちらの殿方は、大切なお人ですか?それなら気にすることはない。どうぞ、お母様に会って行きなさい。」

オルフェウス王子はそう告げると、立ち去ってしまった。


ディアナは、その姿をずっと見つめていた。

この感覚は、何なのだろう…………。


病院職員は、まったく王子の気まぐれには困ったものだとつぶやきながら仕事に戻って行った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ