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運命に導かれて

第2章 結婚相手を探して

オルフェウス王子の城は国の中心にあり、どこからでも見えるようになっている。


ディアナは毎日、城を眺めては心を焦がしていた。

女の子にとって、城は憧れの象徴だった。

貧しい家庭で育ち、父親が出て行き、病気がちな母親と二人で苦労しながら生きてきたディアナにとっても例外ではない。

清く正しく生きていれば、神様はちゃんと幸せにしてくださる。

それはどんな平凡な形でもかまわない。


しかし、やはり王子様と恋に落ちることを夢にみるのだった。

生まれ変わったら、あんなお城でお姫様として生きてみたい。
それがディアナの望みだった。


どんなに苦しい暮らしをしていても、心の中だけは自由だ。どんな夢だって好きなように描ける。


この朝も、ディアナは夜の仕事を終えて、母親の薬と食べ物を買って家路にむかいながら、何度もふりむいて城をながめた。

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