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すると、灰音は言った。

「柊一も見てたでしょ。前、自転車でぶつかりそうになった女の子を私が助けたの。」

「えっ？僕が見てたの気付いてたのか？」

「フツーは気づくでしょう。」

呆れたように灰音は言う。灰音は続ける。

「あの子、私のこと知ってたよね。」

「ああ。『水沢灰音さんですね。』って。あれ、どういうことだ？」

「ああ、あれね。あのすみれさんって子、体弱くて学校行けなくて、学校の勉強教えてくれる家庭教師が必要なんだって。もうすぐ元気になるから準備期間としてね。」

「そこでなぜ灰音なんだ？そもそも灰音は高校生だろ。」

「今時の流行も知りたいし、本物の高校生から聞いた方がいいって。」

「それはいいけど、だったら他にもいるじゃん。僕でも誰でもよかったし。」