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暗い少女は明るい少女?

第17章 修学旅行記3

僕は見て回ったがどこにもいない。
上に引き返そうと階段を上がりかけたところで階段を下りてきた女生徒に危うくぶつかりそうになった。

「うわっ!」

「きゃっ!」

女の子は灰音だった。 

「灰音か。」

「柊一、美奈知らない?何処にもいないのよ。」

灰音が焦った口調で言う。

「美奈もか…。」

僕がつぶやいた言葉を灰音は聞き逃さなかった。

「何よ。『美奈も』って。」

「純もいないんだ。」

「純も?」

「ああ。」

「それって何かヤバくない?」

「いや、多分、大丈夫。多分…」

僕は灰音に言い聞かせるようで半分自分に言い聞かせていた。
ここは船なんだからと。

「大丈夫だよ。出るときには一緒に居るって。」

僕は自分にそう言い聞かせた。

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