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えっちなたいいくのじかん

第6章 2じかんめ「じきゅうそう」

植木の下で待機すること長らく。

先頭集団のおとこどもの足音が聞こえてきた。慣例として、プール裏を通り過ぎてから一気にラストスパートをかけることになっている。だが先頭集団は俺のことが気になったのか、一旦足をとめて、きょろきょろしはじめた。

「おい、ここだぜ」

と俺が植木から顔だけだして話しかけてやると、先頭集団の1人、足の速いサッカー少年のハヤトが

「おう、そこか、ヒロシ、頑張れよ!」

とだけ言って、再びスタートした。他の奴らも俺に一瞥くれて、会釈しつつハヤトについていった。おとこの先頭がもう来たってことは、おんなの先頭がくるのももうじきだ。おんなのほうが走る距離が短いから、スタートの時間が違うとはいえ、ゴールの時間はおとことおんなでそんなに変わらないのだ。

果たして、いよいよおんな先頭集団はやってきた。

おんなのこの中じゃ一番運動神経のいい、サユミが細い体に荒い息で、ぜいぜいしながらトップを維持していた。

俺はサユミとその後ろのおんなのこが結構離れてることに気づいた。これは襲撃するにはチャンスだ。誰にも見られていないことは重要な要素だから、このようにずば抜けて速いサユミは狙いやすいだろうと実は決行前から予想していたんだぜ。

可愛い息を弾ませて、俺の潜む植木沿いを走るサユミ。

さあ来い、あと5メートル、3メートル、2メートル、今だ!

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