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【黒バス】「短編集です。」【腐向け】

第1章 「夏祭り」 火神×黒子

「火神君、火神君」

頭を撫で続けていると、黒子が顔を上げた。


「なんだ?」

黒子は辺りを見回して言った。


「緑間君たちがいません」

火神も辺りを見回す。

「他の屋台に行ったんだろ。つーか気付かれなかったんだな」


後頭部の後ろで腕を組んで、興味がなさそうに喋る。


「少し残念です。僕らも他の屋台に行きましょう」

そう言うと、黒子は火神の服の裾を掴んだ。

火神はその手をぎゅっと握り締め、手を繋いだ。


「…お腹が空きました」

「俺もだ。何食べる?」

「イカ焼き、食べませんか?」

「そうするか。んじゃ行こうぜ」


イカ焼きの屋台を目指して、道を歩く。

周囲の視線が少し痛いが、この幸せに比べればなんてことない。



「火神くん」

「今度はなんだ?」


またもや黒子は火神の名前を呼ぶ。



「楽しい、です、凄く」


表情はいつものように無表情にも見えるが、火神は黒子が少しだけ笑っているような気がした。


「俺も楽しいぜ」

黒子のほうを向いて笑顔を向けると、黒子も微笑みを返してくれた。


「ふふ」

笑っている声が聞こえてきたので、黒子を見ると、唇に手を当てて凄く嬉しそうに笑っていた。


その少し頬を染めた、心からの笑みに、火神は不覚にも心を打たれてしまった。

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