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【黒バス】「短編集です。」【腐向け】

第1章 「夏祭り」 火神×黒子

鼓動が激しくなるのがわかる。

どうしよう、いつもならこんなことはないのに。


黒子はそうこうしている内に携帯へ手を伸ばしていた。


「もしもし、火神くん…?」

これから聴こえてくる火神の声を想うと、胸が高鳴る。


『俺以外誰が出るんだよ』

「…氷室さんとか」

『いや無いだろ』


いつもより火神を意識し過ぎて空回りしてしまう。

火神は至って普通なのに、と黒子は下唇を噛み締めた。


「すみません。…で、用件はなんですか」

1番聞きたかったことを訊ねる。



『…ちょっと、声が聴きたくて』

火神の段々と細く小さくなっていく声に、胸が温かくなるような気持ちがした。


「あ、え、…っと」

『じ、冗談だよ。早く起きちまったから、その…』


画面の向こうで挙動不審になる火神を想像すると、愛おしくて堪らない。

今にも抱き締めたくなるくらいに。


「…僕も、早く目が覚めてしまったんです」



『……楽しみだな、今日』


その言葉に、早く起きてしまった、という文字の羅列から、何かを感じ取ってくれたようで嬉しかった。


「よかった、火神君も同じなんですね」

嬉しくてついつい本音が漏れると、また恥ずかしそうな火神の声が聴こえる。



そんなやりとりが楽しくて、早朝にあった不安など何処かへ吹き飛んでいた。


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