壊れた御守り
第10章 プレゼント
ベッドの上で小さく笑う麻美。
途端に
カシャッっとシャッター音がして我に返る。
麻美がインスタントカメラを持って笑っていた。
「慶ちゃん、写真、頂戴?」
「えっ?あ、ああ」
手にしていた写真を全て渡す。
麻美は一冊のノートを取り出して、
その写真を貼り付けていく。
「麻美…?」
「でーきたっ!」
しばらくして、麻美はそう言って俺にそのノートを寄越した。
「…これ……」
そこに貼られた写真の下には
一枚ずつ文字がかかれていた。
俺との思い出とか
あの日言えなかった自分の気持ちとか
そんなことを、カラフルな文字で。
「え……?」
一番最後の写真、
さっき撮った写真のページを開くと…。
「誕生日……?」
そこには“Happy birthday”の文字と
小さな黄色い花が写っているキーホルダーみたいなものが挟めてあった。
「これ…」
「誕生日プレゼント。それね、“カンナ”っていう花なんだよ。慶ちゃんの誕生花」
だからだったのか。
来ないで欲しいって言ったのはプレゼントを見られたくなかったから?
ていうか、なんで…。
俺は、麻美の誕生日知らないのに…。
「御守り。慶ちゃんが医大に合格しますようにーって、ずーっと願いを込めてたから絶対に慶ちゃんを守ってくれるよ」
そう無邪気に笑った麻美に、俺は泣きそうになるのをこらえて笑った。