壊れた御守り
第10章 プレゼント
-ねぇ、慶ちゃん。
あの日、あたしは初めて花火を見ました。
今までは、花火の音しか聞こえなかった。
だけど、慶ちゃんと初めて浴衣を着て、
初めて綿飴を食べて、
初めて、花火をこの目で見て
そして初めて、大事な大事な
永遠の約束をしました。
慶ちゃんがあたしのためを思って繋げてくれた約束は
あの日からのあたしの宝物です。
あたしは、あの花火を忘れない。
慶ちゃんの言葉を一つ一つ覚えてる。
ねぇ、慶ちゃん。
これを読んだら、病院に戻ってきて?
あなたに渡したいものがあるの。
あたし、ここで待ってるから
ねぇ、慶ちゃん。
ありがとう。-
「麻美…?」
俺は走った。
麻美の待つ病院へ。
今までの手紙と写真を手にして。
「麻美…っ!」
「お帰り。慶ちゃん」