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壊れた御守り

第11章 夢と現実



その日は朝から雨だった。



普段、外で遊びまわるやつらもみんな



教室内で休憩をとる。



俺はというと
相も変わらず参考書に目を通していた。



そんな、いつもと変わらない時間だった。




まだ二年生。
受験の意識が少ないためにこの教室は賑やかだ。




そんなのほほんとした雰囲気が破られたのは



一瞬だった。



「小南!荷物を持って先生の車の前で待機しなさい」



「は?」



見ると、担任が立っていて、息を切らせてそう言った。



なんだ?




車の前で待機?
荷物を持って?



なんで?



「なんで待機…」




そして、俺は気づいた。



麻美に何かあった?



俺はクラスのやつらがざわつく中



俺はカバンを持って教室を飛び出した。



「あっ!おい小南!参考書は…」





潤平が後ろで呼んでる。



だけど今の俺には参考書なんてどうでも良くなっていた。








先生と車に乗り込む。



先生は俺に話しかけてきた。



「浅野麻美の病院に向かう」







「…はい」





「すまんな。お前が何かと面倒みてるらしいから、お前を連れて行くことになった。
せっかく勉強頑張ってたのに、動揺させて悪いな」





先生、何言ってんだよ。





俺が何で勉強してるか知らないだろ。






麻美が元気でいなくちゃ






今の俺は成立しないんだよ。





「麻美…」



車の中、それ以上は先生も喋らなかった。




俺は病院に着くまでの間




麻美にもらった御守りを握りしめていた。






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