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壊れた御守り

第11章 夢と現実



「麻美…!!」




「待て、小南。焦るな」


俺は車を降りて走り出した。




階段を駆け上がって、冷たい廊下を走る。




“浅野麻美”とかかれた病室のドアを開けると、




そこに麻美はいなかった。




まだ、手術室から帰ってきてないんだ…。




なんで?



あんなに元気そうだったのに。




昨日だって一緒に中庭散歩して…




「麻美…」



ベッドに腰掛けて顔を伏せた。



御守りを握りしめる。



なぁ、麻美。


早く、早く戻ってこいよな。



冬になったら、修学旅行があるんだ。



一緒に行こう。



だから、早く元気になって笑ってくれよ。



頼むから。




「麻美…っ」







俺がまた麻美の名前を呟いた時、



病室のドアがゆっくりと開いた。







「麻美…っ!?」












だけど、そこにいたのは麻美じゃなかった。









「あんた……」














「こんにちは。小南慶太くん。ちょっと話、いいかな?」















こいつ…









麻美の担当医だ…。








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