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壊れた御守り

第11章 夢と現実



「なんで…俺のこと……」



少し若い男。


目の前にいるのは麻美の担当医、北條暁(ほうじょうあきら)。





この間、麻美の前の担当医が転勤になった代わりに配属された現在の担当医。




そんな奴が、俺に話?



喋ったこともないし、俺、麻美の身内とかでもないのに…。


「学校の先生には今、麻美ちゃんのそばにいてもらってる」



“麻美ちゃん”?
なんだよその呼び方。



俺は警戒心むき出しでじっと、そいつをみた。



「北條…医師ですよね?」



「あぁ。そうです。覚えてもらえて光栄ですね」




いかにも大人っぽい話し方をされて、




自分がいかに子供であるかを思い知らされる。




「なんですか?話って…」




俺が静かにそう言うと、



白衣を着た北條はポケットに手を突っ込んで俺を見据えた。






「君、麻美ちゃんの何なんだい?」




「はっ?」




「どういう関係かって話だよ」




「な、なんだよ。どうだっていいだろ?ただ…仲良いだけだよ」





なんでこんなこと聞くんだ?こいつ…。


北條は続けて言った。



「あの子が好き?」




「…っだったらなんなんだよ。悪ぃかよ」





なんだこいつ。



そんなこと聞く医者、いんのかよ。




北條は表情を変えずに、じっと俺の目を見た。




そして、やつは言った。



冷たい声で




淡々と。



















「あの子が好きなら、もうここには来るな」












「はっ?」












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