壊れた御守り
第11章 夢と現実
「小南、ここにいたのか?」
「……あぁ」
担任が入ってくるのが分かって、
俺は立ち上がった。
「浅野、戻ってきたぞ。今ここに来るから」
「そっすか。じゃあ俺、帰ります…」
「帰る?会わないのか?」
「や。会ったって意味ねぇし」
俺はそう言ってドアまで歩いた。
「大丈夫か?送っていくぞ」
「いい。自分で帰れる」
廊下に出てため息をついた。
北條に言われたことを心のなかで整理する。
ほんっと、情けねぇ。
何が約束だよ。
何が助けるだよ。
そんなん自己満じゃねぇか。
俺、アホじゃね?
気付くと、奥のエレベーターが開いて
北條に付き添われベッドで運ばれる麻美を見つけた。
北條と目が会う前に俺は
走って階段を駆け下りた。
麻美に、来たことがばれないように。
もう、ここには来ない。
麻美の姿を見たらきっと
明日も明後日も
未練がましくここ来てしまいそうだったから
俺は近くの公園まで走った。
走って、走って
麻美にもらった御守りを握りしめた。
「麻美……っ」