壊れた御守り
第12章 土下座
冬が近づいて、
クラスは修学旅行の話題で持ち切りだった。
旅行計画の話し合いの中
俺は机に突っ伏して目を閉じていた。
「なぁ、小南!お前、グループどうすんだ?」
潤平の声が隣から聞こえた。
「いい。俺パス」
「パスってなんだよ。あぶれんぞ?」
「あぶれたいんだよ。ほっとけよ」
「はぁ?お前どうした?」
ほんと、どうしたか俺がききてぇよ。
今の俺は、
誰彼構わず八つ当たることしか出来ずにいた。
「おい、潤平…」
「あ?どした?まざる気になったか?」
俺は顔をあげて潤平を見据えた。
「どけ。その席に座んな」
「は?…あ、悪い」
そこは麻美の席だ。
勝手に座ってんじゃねぇよ。
俺はなんとか怒りを抑えて教室を出た。
息が詰まる。
あのクラスにいると空気が薄くなるみたいだ。
-出た。性格悪魔~-
-慶ちゃん、おはよう-
-あたし、リレー出たい-
-慶ちゃん?どうしたの?-
そこに麻美はいないのに、声がするようで
そこに麻美はいないのに、麻美が俺に触れるようで
クラスにいると息が詰まる。
どこにいったって同じだけどさ…。
思うことはいつも一緒。
ただ、麻美がいないだけ。