壊れた御守り
第12章 土下座
麻美のいる病室に入る。
外はもう真っ暗で、寝ているのか
灯りはオレンジ色に光るベッドライトだけだった。
ベッドのそばにある椅子に腰をおろす。
麻美は小さな寝息をたてていた。
麻美。
無事なんだな。
良かったよ。
ほんとに。
なぁ、麻美。
なんで無理したんだ?
無茶をさせるような俺はもう、お前のそばにはいないのに…。
「ん…っ」
麻美が突然顔を歪めた。
俺はびっくりして立ち上がった。
麻美は次第に汗をかきはじめて
そんな麻美を見たら どうしようもなく腹が立った。
こんなに苦しそうな麻美を少しでも楽にできたらいいのに
俺はそんな方法も知らないまま…
「何が…医者になるだよ…」
こんなに、そばにいるのにさ。
なにもしてやれないんだよ。
「麻美…」
そっと、麻美の頭を撫でる。
久しぶりに
ほんとに久しぶりに麻美に触れた。
あの頃と変わらない暖かい麻美。
ずっと、触れたかった。
毎日麻美のとこに行って、
麻美のそばにいて
ほんとは、辛い時にこうしてそばにいてやりたかった…。
ほんとは…