壊れた御守り
第13章 殴られた痛み
渡されたものを手にとってみると、
中には小さな箱と手紙が入っていた。
「浅野、俺に会いに来た時、お前を怒らせたから合わせる顔がない。だから代わりに渡してくれって言ってた」
え?
怒らせた?
なんでそんな勘違い…
「お前ら、ほんとに何があったんだよ」
「なんもねぇって」
「うそつけ。じゃあなんで、んな顔してんだよ」
「…なんもないって」
健太は黙った俺を見つめて、ため息をついた。
「俺、前に言ったよな?」
「え…」
「俺は遠慮なしにいくって」
「は?」
健太が、俺をまっすぐに見据えていった。
「俺、クリスマスの日、浅野をデートに誘った」
「は…?」
「告ろうと思ってる。もう遅ぇからな」
なんで。
なんでだよ。
麻美はダメだ。
外に連れ回しちゃだめだ。
だけど…
「そうか…」
そう、小さく言うしかなかった。
健太はそんな俺につかみかかった。
「なんだよ。それ。それだけか?お前、浅野が好きなんじゃねぇの?ほんとにいいのかよ?」
「俺は…何もできない」
そう。
何も出来ないんだよ。
お前は知らないから。
何もしらないから平気で麻美に会えるんだ。
「いい加減にしろよ!!」
健太の怒鳴り声と、頬に感じる痛みが俺を襲った。