壊れた御守り
第13章 殴られた痛み
目の前がぐわんぐわんと歪む。
俺は初めて、殴られたってことに気づいた。
まだ視点が定まらないまま、健太を睨みつけた。
「いっ…てぇ…」
俺が起き上がらないうちに、
健太はまた俺を掴みあげて殴った。
「なにすんだよ!?」
「いい加減にしろよ!!んなもん全然痛くねぇだろ!?
浅野の痛みに比べたらこんなもん、なんともねぇだろ!?」
は?
麻美の痛み?
こいつ、何言ってんだよ。
「麻美の痛み…って…」
「浅野が今、どんだけ傷ついてんのか、知らねぇだろ!?」
「は…?」
健太は俺を掴みあげ、顔をぐっと近付けた。
「あいつ、お前が浅野の話をしなくなったあたりからおかしかった」
「健太…?」
「栄養失調で入院してるらしかったのに、あいつ、どんどん顔色悪くなってて…」
健太には、栄養失調のための入院だって言ったのか…。
病気を悟られないように…。
「慶ちゃんがまだ来てない、慶ちゃんは体調が悪いのかってそう聞かれたよ」
「麻美が…?」
「お前が浅野を傷つけないように離れたなら見当違いだぜ」
「なんで…」
「浅野を傷つけてんのは、“今”のお前だよ!!」
“今”の
俺…?