壊れた御守り
第13章 殴られた痛み
「いっ…てぇ……」
鏡を見ながら、その腫れた頬をさすった。
あの野郎…
本気で殴りやがったな。
あれから数日経ったのに、健太に殴られた傷が治らない。
今日は、12月24日。
クリスマスイブ。
麻美の誕生日。
健太が麻美に気持ちを伝える日…。
考えるな、俺。
ぶんぶんと頭を振って、俺はふらっと家を出た。
気晴らしに、散歩しようと歩く。
なるべく人通りが激しい町中は避けた。
カップルばっかだし。
ぼーっと歩いていると、誰かに服の裾を引っ張られた。
「は?」
そこにいたのは、この間健太と一緒に歩いていた…
名前、なんだっけ?
「やっほー。こんにちは。健太くん」
「えっと…健太の幼なじみの…」
「長嶋凌華です!覚えててくれたんだ?」
や、名前は完全に忘れてたけどな。
俺は愛想笑いで返した。
凌華は俺をじっと見つめて笑った。
「ふふ。なんかぼーっとしてたみたいだからついてきちゃった。森を散歩するのが趣味なの?」
え?
森?
気づくと当たりは森の中で、
我ながらぼーっとしながらたどり着くなんて恐ろしいな
なんて思いながら俺は凌華と2人のこの雰囲気に戸惑い始めた。