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壊れた御守り

第14章 Happy birthday



俺に気づいたのは健太だった。



びっくりしたように、だけどすぐに落ち着いた表情で



隣にいる麻美に何かを話して俺の方へ歩いてきた。



息を切らせて健太の目の前に立ち止まる。



健太は俺をじっと見つめて口を開いた。



「来たのか。慶太」



「はぁ…っ健太…」



「悪いけど、もう遅いって言ったよな?浅野は今俺とここにいるんだ。邪魔すんな」



健太が冷たく言い放った。



ふざけんな。



何が邪魔すんなだよ。


邪魔なのは…



「お前だよ…」



「は?」



「邪魔なのはお前だよ!!てめぇ、ふざけんなよ!?」



息を整えて俺は叫んだ。



健太の頬を思い切り殴る。



周りから小さな悲鳴が聞こえたけど、そんなん関係なかった。



地面に倒れた健太をいつかされたように掴みあげた。



「お前は何にも知らねぇからいいよな!?そうやって自分のやりたいようにできて…」



「はぁ?何言って…」



「あいつをこんなとこで振り回してんじゃねぇよ!!」



「悪いかよ!浅野がここがいいっつったんだよ。逃げてるお前には関係ねぇだろ!?」



「関係あんだよ!!」


叫ぶのを止めなかった。



関係あるんだよ…。健太。



だって俺しか知らないから…。



「やめろよ…。あいつを外に出すのは」



「は?」











「あいつ…心臓病なんだよ…」











言ってしまった。




だって、こうしなきゃ守れないと思ったから…。




麻美は心臓病。






誰かに話して改めて、俺は思い知らされた。





麻美の背負ってる、大きな苦しみを…。




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