壊れた御守り
第14章 Happy birthday
「心臓病…って……なんの冗談だよ?」
「冗談じゃねぇよ!あいつはずっと1人で戦ってんだよ!!
さっきだってお前に気づかれないように、苦しくても笑って隠してたんだよ!!」
なぁ、麻美。
お前は健太に悟られたくなかったから
笑ってたんだよな?
そうだろ?麻美…。
「俺が逃げてる?勝手なこといってんじゃねぇよ!!」
俺は健太を離して麻美の方を見た。
麻美は俺に気づいてなくて、ぽつんと列の中にいた。
うつむいて、ただじっと…。
「長嶋もお前も、俺の何がわかんだよ…。あいつはお前なんかのこと…好きになんねぇよ。
あいつは…」
“出た。性格悪魔くん”
“慶ちゃんっ!”
“慶ちゃんは幸せ?”
“誕生日おめでとう”
「…あいつは俺んだ!!」
俺はそう叫んで、麻美の方へ向かった。
列が麻美の番になって観覧車の扉が開く頃だった。
「すみません、抜かしてくださ…」
麻美が係員にそう言い終える前に
俺は麻美の手を引いて観覧車に乗り込んだ。
「え…っ?」