壊れた御守り
第15章 凌華の涙
麻美を病院に送ったあと、俺は走っていた。
つっても、俺はたかだか2回しか会ってないから
見当もつかないけど。
とにかく走り回った。
凌華、どんな服だったっけ?
初めて会った商店街を探してみる。
人込みをかき分けて、奥へ奥へと進んでいった。
「長嶋!?」
「はぁ?あんた誰?」
「…すいません。人違いでした」
さっきからこれの繰り返し。
全然見つかんねぇ。
どこ行ったんだよあいつ。
「もしもし、健太?家にいたか?」
《や、家も留守だったよ。あいつがよく行くカウンセリングも覗いたけど、いなかったよ》
「そか…。見つかったら連絡しろよ?」
あ…。
電話を切ると、瞬間に思いついた。
あそこかもしれない…。
俺は商店街を出て走った。
どう行くんだっけ?
どの道だったっけ?
わかんねぇけど、曖昧な記憶を巡らせて走った。
“よく行くカウンセリング”
カウンセリングを受けるほどの悩みがあるのか?
学校に行かないのはそのせい?
あんなに笑うのも
あんなに冷たい表情をするのも
あんなふうに泣くのもみんな
全部、それのせい?
「長嶋…」
しばらく走って、やっと見えてきた。
小さな森のような場所に繋がる道が。