テキストサイズ

壊れた御守り

第15章 凌華の涙


「私に親なんていない。私は捨てられた子供だから…」



凌華が冷たく呟いた。



“捨てられた?”



「悪ぃ…やなこと言って」



とっさに謝ると凌華は首を横に振った。


「私は汚れた人間だから…」


小さくだけど、その声ははっきり聞こえた。



「おい、汚れてるって、何だよ」



「……」



「長嶋!!」




俺が大きな声で凌華を呼ぶと



俺の叫び声が辺りに響き渡った。



しんと静まり返り、凌華が俯いて口を開いた。




「慶太くんにはわかんないよ…」



「え?」




「慶太くんには…私の気持ちなんかわかんないよ」




凌華の弱々しい声が痛いほど耳に響いた。



「だって慶太くん、男の子だもん…」






「え…?」




ストーリーメニュー

TOPTOPへ