壊れた御守り
第15章 凌華の涙
「もしもし、健太?あぁ。長嶋見つかったから送ってく。麻美んとこ行ってくれねぇかな?あいつ今日調子悪そうだったからさ。あぁ。悪ぃな…」
寒い道のりを歩く。
背中にいる凌華はさっきからずっと黙ったままで、
自分の体重をきにしてるのか、そわそわしていた。
「あのさ、全然重くねぇから。力抜けよな」
「え…?でも…」
凌華は口を噤んでから、安心したように力を抜いた。
「なぁ、長嶋はさ、…その……なんで学校行かないんだ?」
「え?」
「や、ほら。なんか気になってさ。悪ぃ…言いたくないなら別に…」
「嫌いなの」
「は?」
「男の子が、嫌いなの…」
凌華が小さく呟いた。
「だから、学校に行きたくないの…」
男性恐怖症-
凌華は男が苦手…?
このときの俺には、凌華のその言葉の本当の意味が
まったくわかっていなかったんだ。