壊れた御守り
第15章 凌華の涙
「長嶋?どうした?おい!!」
ガタガタと震える凌華。
扉の奥では、階段をあがる足音が響いた。
「凌華?帰ってるのか?」
低い声が聞こえると、凌華はさらに強く震えだした。
もしかして、おじさんまで駄目なのか?
「凌華?いるんだろ?」
「長嶋。俺、おじさんに挨拶してくるから、待ってろ。な?」
「いや…っ!!駄目だよ。慶太くん…駄目なの…」
凌華がそう言ったとき、扉がゆっくりと音を立てて開いた。
「凌華…?」
扉の前に立っていたのは、眼鏡をかけた少し若い、20代後半から30前半くらいのお兄さんだった。
この人が、凌華の遠縁の?
おじさんは俺を見て訝しげに口を開いた。
「誰だよ。あんた」
「はじめまして。俺、凌華さんの知り合いで…」
俺がそう言い終わらないうちに、俺の頬に激痛が走った。
え?殴られた?
「慶太くん…っ!?」
なんだろ。
この違和感は。
もしかしたらこのおじさん…。
「俺の凌華に何手出してんだよ?」
もしかしたらこの人が、
凌華をこんなふうにした張本人なのかもしれないと思ったんだ。