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壊れた御守り

第15章 凌華の涙



凌華の家を出ると、辺りはすっかり暗くなっていた。



俺はどこをどう走ったか覚えてなかったけど



気付くと、麻美の病院の近くまで来ていた。



背中におぶった凌華はさっきから黙ったままで




俺の首筋に熱いものをこぼしていた。



凌華が泣いてる。



「なぁ、長嶋」




俺はゆっくり歩きながら静かに言った。



「トラウマなのは…あのおじさんなんだろ?」




凌華は答えなかったけど、さっきまで放心状態だったのが



強く、俺の背中にしがみついていた。




「……引かないって約束して…」




しばらくして、凌華は小さく呟いた。



びっくりして一瞬立ち止まったけど、



再び歩き出した。



「あぁ。約束する。どした?」



俺がそう言うと、凌華は震える体を必死に抑えながら口を開いた。




「私……おじさんに…」




凌華が、言いにくそうに口を噤み、




そしてそれから、信じられないことを言ったんだ。









「おじさんに…レイブされたの」









凌華は消え入りそうな声で言ったんだ。






俺は何も言えなくて、ただ寂しく光る街灯を見上げていた。






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