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壊れた御守り

第16章 麻美と凌華



凌華が真っ直ぐ前を向いてそう言った。


“お礼”…か。



やっぱり、凌華は良い子なんだな。



不安定で、一人になったりすることに怯えていたあの日の凌華は



本当はこんなに真っ直ぐで優しい、女の子なんだよな。



麻美は、こんな良い子と知り合えて幸せだよ。



ずっと病室で独りだった麻美に



友達が出来るかもしれない。



病気のことを何もしらない友達ではなく


本当に心の底から友達になりたいと願っている友達が出来るかもしれない。



「そっか…。それ、直接麻美に話してやったら、あいつすっげぇ喜ぶよ」




俺は凌華の頭に手をのせてそう言った。


凌華は一緒びくっと震えたけど



すぐに安心したように静かに笑った。



それから俺たちは歩いて病院に着き、



麻美のいる病室に向かった。



あの日以来だ…。



麻美は元気にしてるだろうか。



本当は個室のドアを開けるのが怖かったけど



隣にいる凌華が麻美と会うのを楽しみにしているのを見たら


自然と緊張がほぐれて



俺はゆっくりドアを開けたんだ。



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