壊れた御守り
第16章 麻美と凌華
「…分かった。待ってるね」
麻美が静かに言う。
きっと麻美は気付いてる。
俺が何かを話そうとしてることに。
麻美は凌華にもう一度笑いかけると、
引き出しをあさり始めた。
「麻美?何してんだ?」
「ちょっと待ってね…あっ!!これだ。凌華ちゃん、これあげる」
「え…?」
麻美が凌華に渡したのは
ハート型に折られたルーズリーフだった。
手紙?ただ単にハート型に折っただけ?
なんだろう…。
麻美はずっと、凌華に渡そうとしていたのかな?
「麻美ちゃん、これ…」
「ほんとのほんとに辛くなった時、開けてみて。凌華ちゃんと会ってから、また会えたら渡そうと思ってたの」
「麻美ちゃん…ありがとう…」
凌華は涙ぐんで、それでも精いっぱい笑った。
「もう行って?寒くなるといけないから」
「あ、ああ。麻美、体調気をつけてな?」
「ありがとう。慶ちゃん!また明日」
「またな…」
俺はそっと凌華の手を引いて病室を出た。