壊れた御守り
第3章 麻美の病気
『慶ちゃん、あたし大丈夫だよ?』
麻美は、走っちゃいけなかったんだ。
『嘘だ。そんなわけねぇだろ…』
わかってるはずなのに走ったのは、
きっと、きっと…。
『俺の…』
『慶ちゃん?』
『俺の前では…泣いて良いから』
『えっ…?』
『お前が見られたくないなら、俺が隠してやるから』
口が勝手に動く。
だけど全部、ほんとのことだ。
-だから罰が当たったのかもね…-
あぁ。
今わかった。
あの言葉の本当の意味。
俺は、なんて最低なことを言ったんだ。
俺はなんて…
悲しい言葉を言わせてしまったんだ?
『だから、だから…』
『もう、無理して笑うな』
俺にこんなこと、いえる資格なんて無い。
そんなこと、わかってたけど…。