壊れた御守り
第17章 人を助ける手
「誰かいるのか!?…凌華か?おい、凌華?」
一階から人の声がする。
昨日も聞いた、あの男の声。
俺は見ていた写真をカバンに入れ、凌華の部屋を出た。
階段をゆっくり降りる。
やべぇ。
情けねぇけど、超怖ぇ…。
だってさ、自分の遠縁の女の子にレイプなんて最低なことが出来るほど
狂ってる相手だぞ?
そう考えただけで足が震えてるのが分かった。
最後の一段に足をかけた時、向かいにあるリビングの扉が開いた。
「凌華…じゃねぇ。お前、凌華と一緒にいた…!?」
おじさんは突然現れた俺に戸惑ったように数歩後ずさった。
「小南慶太です。おじさん、勝手に入ってすみません。凌華から鍵を預かったんで荷物を取りにね…」
俺はポケットから鍵を取り出してみせた。
おじさんは俺をじっと見つめたまま。
そのまま冷静な表情を作り口を開いた。
「荷物…?」
「失礼ですけど、おじさん」
俺は震える声を無理矢理絞りだした。
「長嶋に…凌華に何したんですか?」
「あ?」
さぁ、答えろよ。
てめぇが一体今まで
凌華にどんな卑劣なことをしてきたのか
その口で俺に教えてくれよ。
なぁ。
「凌華に何したんだって聞いてんだよ」
頼むからさ…。