壊れた御守り
第17章 人を助ける手
鈍い音がした。
鈍い感触が、余韻として残ってる。
急に抑えられなくなった。
俺は間違ってる?
いや、間違ってないよ。
だってさ、目の前のこいつはさ
俺よりもずっと最低なんだよ。
足りないくらいだとさえ思う。
何度殴ったかわからない。
初めのうちは抵抗してたのも
次第に大人しくなっていて
それなのに俺はただひたすら殴った。
誰か止めてくれよ。
じゃないと俺、こいつ殺してしまいそうだ…。
そう思った時、
信じられない声を聞いた。
「…俺が引き取ったんだ。俺のものをどうしようが勝手だろ…」
「は…?」
俺は振り上げた手を止めた。
何?
今こいつ、何か喋ったか?
聞こえねぇ。
全然聞こえねぇよ。
「周りから見放されるようなあんな女、ただ俺の欲望を満たすだけに在ればいいんだよ!」
「てめぇ…!!マジでいい加減にしろよ!?」
その時の俺はさ
自分でもよくわかんないほど、
狂っていたんだと思うんだ。
きっと。
きっと…。