壊れた御守り
第17章 人を助ける手
俺が拳を振り上げたその時だった。
「慶ちゃん!!」
聞こえるはずのない、聞き慣れた優しい声と
背中に感じる温かい温もり。
「……麻美?」
なんで麻美がここに?
病院は?
どうしてこんなとこにいるんだよ?
なんで…
なんでよりによってこんなとこ
麻美に見られるんだよ…。
「だめだよ…慶ちゃん。お願いだからやめて?」
麻美が消え入るようにそう呟く。
気付くと自然と力が抜けてて
俺は腕をおろしていた。
「麻美…なんでここに…」
「慶ちゃん、こんな人なんかのために傷つかないで…」
「え…?」
「こんな人のために…慶ちゃんの手を汚す必要ないよ…!!」
麻美は、俺の手をそっと包んだ。