壊れた御守り
第17章 人を助ける手
麻美が怒った…?
しんと静まり返る部屋に、麻美の声が響いた。
「確かに酷い人だよ?特に女の子の立場から言わせてもらうと許せないと思う。だけど…慶ちゃんが手を出していい相手じゃないよ!!」
「麻美…」
麻美は悲しそうな顔をして
今にも泣き出してしまいそうな目をして
俺のことをじっと見つめていた。
あれ?
俺、また麻美を傷付けた…?
こんな顔をさせたのは俺か…?
「慶ちゃん。慶ちゃんの手は人を傷つけるような手じゃないよ?」
麻美はさっきと違い、静かに柔らかく言った。
「ほら。あったかい…。慶ちゃんの手は人を助けてくれる手だよ」
“人を助ける手”
ほんとにそう思うのか?
俺のこの手が
人を助けられる手…?
俺は自分の手にそっと重ねてくれた麻美の手を見つめた。