壊れた御守り
第17章 人を助ける手
あったかい…。
麻美の手はすごく温かくて、
自然と俺の怒りも収まってきていた。
麻美はそんな俺に気付いたように静かに笑った。
「麻美…俺…っ」
「わかってる。大丈夫だよ。慶ちゃん」
麻美は黙って自身の手を見つめたままの俺から離れて、
倒れ込んでいるおじさんに近寄った。
あぶねぇって思ったけど
おじさんの意識はなかったから
俺はそのまま動けずにいた。
しばらくそのままでいると、
麻美は俺のそばに戻ってきて言った。
「今、軽い手当てしたから。大丈夫。慶ちゃん、あんまり本気で殴ってないでしょ?」
「え…っ」
「傷の残らないような殴り方なんてして…。ほんとに慶ちゃんって怖いんだか優しいんだかわかんないね」
結構本気だったんだけどな…。
でも、
きっと俺の正常な理性が少しだけ残ってて
自然と力が緩んでたのかもしれない。
「あのさ、麻美…」
「何?」
「俺…。汚れた?」
「え?」
戸惑う麻美をよそに、俺はそのまま続けた。