壊れた御守り
第18章 家族
凌華の小さな声に、俺は振り返って彼女を見た。
笑ってるけど、表情がない。
「長嶋…?」
「こんな私でも…好きだって言ってくれる人に会いたい…」
“誰からも見放されるような女”
おじさんが言った言葉が蘇る。
もしかすると凌華は
ずっとそう言われ続けてきたんじゃないかな。
誰もお前を愛していない。
黙って俺に従え。
ずっと、そうやって。
だから凌華は誰かに必要とされたいんだ。
好きだって、ただその一言が欲しいんだ。
自分が愛されてるっていう証が欲しいんだ。
「その写真…」
ふと、凌華が手にしていた写真を見た。
おじさんと、中学ん時の凌華が笑って並ぶ写真。
凌華はその写真を指でなぞった。
「おじさんの言うとおりなの」
「え?」
「私、おじさんから逃げられないよ…」
凌華は悲しそうにそう呟いた。
「長嶋…」
「おじさんから離れたら…私…独りになっちゃうもん」
凌華の中の小さな悲鳴が聞こえた気がした。