壊れた御守り
第18章 家族
「長嶋。もう話さなくていいよ。俺が悪かったから」
「だけど…。外を歩くときは優しかった…。誰かの前にいるときは頭をなでてくれたの」
「え…?」
それって、人前では仮面をかぶってるってことだろ?
そんなん、優しさでもなんでもねぇよ。
「だから…。私は…」
凌華が写真を強く握りしめる。
写真の上に
ポタポタと涙が落ちて透明な模様をつける。
「捨てないでって…口には出せなかった。だから必死でついてきたの」
「長嶋…」
「私にはもう、おじさんしかいないから…」
わかんねえ。
親も親戚も、友達もいた俺にはわかんねぇよ。
何も言ってやれない。
独りになることへの恐怖を
俺は感じたことがないから…。